今年3月に行われたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)
優勝候補として注目を集めていた日本代表が、ベスト8で敗退しました。
試合後、ある解説者がこんなことを言っていました。
「データに引っ張られすぎて、自分の首を絞めていた」
この一言が、ずっと頭に残っています。
データに引っ張られた配球が、なぜ裏目に出たのか

解説者が指摘していたのは、配球のパターンでした。
相手打者のデータを徹底的に分析し、「この球種・このコースなら打ちにくい」という根拠のある配球をしていました。
それ自体は正しいことです。データを使うことは、現代野球の基本です。
ただ問題は、そのデータに忠実すぎたことでした。
データ通りに動いた結果、起きたこと
ギリギリのコースを狙いすぎた結果、ボール判定が続きます。カウントが悪くなります。
追い込まれた状況でストライクを取りに行かざるを得なくなります。そこを強振されて打たれた。
キャッチャー経験者として、この流れは痛いほどわかります。
データは「仮説」に過ぎない
データは「仮説」に過ぎません。
試合の流れ、その日の球審のストライクゾーン、打者の雰囲気、カウントの状況。
そういったその瞬間にしか読めない情報を無視して、データ通りに動き続けると、自分で自分を追い込むことになります。
ビジネスでも、同じことが起きています

現代のビジネスはデータに溢れています。
アクセス解析、購買データ、顧客属性、SNSのインサイト。さらにAIの進化によって、データの収集・分析はより高精度になっています。
これは間違いなく大きなプラスです。勘と経験だけに頼っていた時代に比べれば、はるかに精度の高い意思決定ができます。
ただ、データだけでは測れないものがあります。
接客業で見えた「人間にしかできないこと」

例えば接客業を考えてみてください。
リピート率、客単価、注文データ——そういった数字は、改善のヒントを与えてくれます。
数字が教えてくれないこと
でも、カウンターに一人で座っているお客さんが求めているのは、必ずしも「最適化されたサービス」だけではありません。
「今日は少し話を聞いてほしい」という夜もあります。
「なんとなく顔なじみのお店に来たかった」という気持ちもあります。
データはそれを教えてくれません。
その場を読む力が、最後の差をつくる
その場の空気を読んで、今このお客さんに何が必要かを判断するのは、人間にしかできないことです。
AIがどれだけ発達しても、目の前の人間の「今」を感じ取る力は、人間が持ち続けるべきものだと思います。
データは道具。判断は、人間がする

WBCの配球の話に戻りましょう。
データを使うことは正しいことです。ただ、データはあくまで「判断の材料」であって、「答え」ではありません。
カウント・球審・打者の雰囲気・試合の流れ。それらを総合的に読んで、「今ここで何を投げるか」を決めるのがキャッチャーの仕事です。
ビジネスも同じです。
データを見ながら、今この顧客に何が必要か。今この市場で何が求められているか。その瞬間の状況を読む力が、数字には出ない差をつくります。
データに引っ張られすぎると、自分の首を絞めます。
それはグラウンドでも、ビジネスの現場でも、変わらない真実だと思います。
まとめ

データは強力な武器ですが、それだけでは不十分です
現場の状況をリアルタイムで読む力が、データと組み合わさって初めて機能します
接客・マーケティングなど「人が関わる場面」では特に、データで測れない判断が重要になります
キャッチャー的思考=データ+状況判断の融合が、ビジネスでも活きます
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